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官公庁入札組合ノウハウ

KNOW-HOW

入札における仕組みをわかりやすく解説します!

2023.07.31

地方自治体の入札と企業からの直接依頼にはいくつかの違いがあります。

まず、物やサービスを選ぶ際には「より良いもの」や「より安いもの」を選ぶ点は共通しています。

しかし、地方自治体の入札には企業の依頼とは異なる特別なポイントがいくつかあります。

地方自治体の入札は、自治体の住民から集められた税金を使って行われることが一つの特徴です。
そのため、利益を追求するのではなく、税金を支払っている住民から賛同を得ることが重要となります。

このため、自治体の存続や利便性向上につながる入札が求められます。例えば、子供たちが通う学校や公園、病院の建設などの福祉充実を図る公共事業や、道路や下水道の整備、河川の改修など、生活を便利にするような事業が中心となります。

また、地方自治体の入札では予算の透明性も非常に重要です。自治体は少子高齢化の影響で財政難に陥っている地域もあります。税金による膨大な予算を抱えているため、その使われ方に対する住民の関心も高まっています。入札に使われた落札金額や入札先などの情報を公開することで、住民の信頼を得る努力が求められます。

公正な競争を重視するため、入札の公平性も大切にされます。公共事業の入札における談合問題は、十分に注意される必要があります。入札の談合とは、企業や地方自治体が相談して事前に受注企業や金額を決めてしまうことです。本来、入札は公正な競争の場であるべきであり、談合行為は独占禁止法にも違反する行為とされています。

地方自治体の入札に必要な資格
地方自治体の入札に必要な資格は、入札の対象となる案件によって異なります。
一般的に、入札参加には原則として費用はかかりません。

入札資格を得るためには、地方自治体が指定する各種認証や国家資格、特定の業務の実務経験などが要求されることがあります。具体的な要件は自治体ごとに異なりますが、以下のような項目が主なチェック対象となります。

・過去の実績や実績案件の評価
・従業員数や資本額などの経営規模
・事業者の経営状況や信頼性
・事業者の所在地

地方自治法施行令167条の5および167条の5の2に詳細な規定があるため、入札参加前に地方が公示している公示書や入札説明書をよく確認することが重要です。

一方で、条件を満たしていても、入札ができないケースもあります。
具体的には以下の3つの場合です。

・契約を締結する能力を持たない場合
・破産手続きが開始され、まだ復権していない場合
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団排除条例)に該当する場合
これらの詳細は地方自治法施行令第167条の4に規定されています。

また、別の場合として、自治体は一般競争入札に参加させない期間を3年以内に定めることもあります。

地方自治体の入札制度

地方自治体の入札制度や契約についてご紹介します。

地方自治体の入札では、原則として「安い」物やサービスを選ぶことが求められますが、価格だけでなく品質にも注意を払う必要があります。

品質を考慮しない入札結果によって、行政サービスの質が低下することは避けたいところです。

価格が安くても、高品質な物やサービスを選ぶために、以下の制度や方法を取り入れることがおすすめです。

低入札価格調査制度
低入札価格調査制度は、ダンピングによる行政サービスの質の低下を防止するために導入されました(地方自治法施行令第167条の10)。
ダンピングとは、採算を無視して商品を不当に安く提供することを指します。

低入札価格調査制度では、入札における「価格の上限値(予定価格)」以下の事業者を選定し、その後、価格だけでなくサービス内容や実績、信用などをチェックします。

安くても質が低いと判断された場合、不適格となります。

●低入札価格調査制度、最低制限価格制度
入札の最低制限価格制度は、公共工事や物品の調達など、入札による契約を行う際に設定される、価格の下限となる制度です。この制度は、ダンピング(不当廉売)を防止し、公正な競争を促進するために導入されます。

ダンピングとは、通常の市場価格よりも極端に低い価格で商品やサービスを提供することで、他の事業者を排除するなど不公正な競争を生じさせる行為を指します。入札においても、業者が採算を無視して価格を下げ、その後追加料金を要求するなどの行為を防ぐために最低制限価格制度が用いられます。

最低制限価格は、発注する地方自治体や官公庁が入札を行う前に設定し、これ以下の価格を提示した業者は入札に参加することができません。入札に参加できない業者によるダンピング行為を防ぐことで、契約先を公正に選定し、適正な価格での契約が行われることを目的としています。

最低制限価格制度は、公共事業や調達の入札において一般的に用いられる制度であり、公平な競争環境を保つために重要な役割を果たしています。適正な価格での入札を促進することで、質の高いサービスや商品を提供する業者を選定し、効率的な行政サービスの提供や効果的な予算の運用が実現されることが期待されています。

●総合評価方式
総合評価方式は、価格以外の要素も考慮して落札者を決定する方式です。
技術力や実績、表彰歴、安全性、地域貢献度などを判断基準に入れ、2人以上の学識経験者の意見を元に最終的な落札者を選定します。

学識経験者の参加によって透明性が高まり、多角的な視点から適切な落札者を選ぶことができます。

●グリーン契約(環境配慮契約法)
グリーン契約は、環境負荷をできるだけ少なくするための契約です。
製品やサービスを調達する際に、環境に配慮した企業を選定することで、住民への配慮につながります。

例えば、電力の購入や改修事業の入札において、環境負荷を考慮した契約先を選定します。

これらの制度や契約を活用することで、安くても高品質な物やサービスを選び、地方自治体の行政サービスの向上に貢献できます。